三文判は別として、印鑑に最も多く使われている書体が「篆書(てんしょ)」。一見判読しがたい文字だが、縁が垂れて均斉のとれた字体であり、いまや印字には欠かせない書体である。千円札や一万円札に書かれた「総裁之印」、これなどはその代表例といえます。
この書体が誕生したのは、BC三世紀の中国、秦の始皇帝の時代です。万里の長城をつくり、暴君といわれた始皇帝だが、中国全土統一後、各地で使われていた字を統一するために、篆書を初めて正式の書体として定めたといわれてます。
書体には隷書(れいしょ)、楷書(かいしょ)、行書(ぎょうしょ)、草書(そうしょ)、古印(こいん)といろんな書体がありますが、印鑑には現在でもこの篆書が多く使われています。思えば長年生き続けた紀元前の書体、あらためて身近にある印鑑を眺めてみてはいかがでしょうか。
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