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はんこノート

●印章の書体

 三文判は別として、印鑑に最も多く使われている書体が「篆書(てんしょ)」。一見判読しがたい文字だが、縁が垂れて均斉のとれた字体であり、いまや印字には欠かせない書体である。千円札や一万円札に書かれた「総裁之印」、これなどはその代表例といえます。
 この書体が誕生したのは、BC三世紀の中国、秦の始皇帝の時代です。万里の長城をつくり、暴君といわれた始皇帝だが、中国全土統一後、各地で使われていた字を統一するために、篆書を初めて正式の書体として定めたといわれてます。
 書体には隷書(れいしょ)、楷書(かいしょ)、行書(ぎょうしょ)、草書(そうしょ)、古印(こいん)といろんな書体がありますが、印鑑には現在でもこの篆書が多く使われています。思えば長年生き続けた紀元前の書体、あらためて身近にある印鑑を眺めてみてはいかがでしょうか。

<書体見本>
(平成)

書体の印影、小篆(しょうてん) 書体の印影、印篆(いんてん) 書体の印影、隷書(れいしょ) 書体の印影、楷書(かいしょ)
小篆(しょうてん) 印篆(いんてん) 隷書(れいしょ) 楷書(かいしょ)
書体の印影、行書(ぎょうしょ) 書体の印影、草書(そうしょ) 書体の印影、古印(こいん)
行書(ぎょうしょ) 草書(そうしょ) 古印(こいん)


●はんこの値段

  1. 材料
  2. 彫刻 (字の構成) (彫刻技術)
  3. ケース
上の3点の要素から決まるのですが...

<はんこの値段とは>

 「はんこ」の値段は、値段ではなく値打ちでありますので注文するときに高い安いの判断をするのではなく出来上がったはんこに対して評価、判断をして頂ければと思っています。
 粗悪の材料、粗悪の彫刻(誤字などは書体によっては一般の人には読めなくて気が付かないことがあります)、信証の具としての役割を果たせないもの(同形印などができてしまうような彫刻方法)、このようなものは、「はんこ」の価値、値打ちがありませんので 商品の値段が安くても、高い「はんこ」ということになります。

●良いはんこ

  1. 良い材料
  2. 良い書体
  3. 良い配字
  4. 良い彫刻技術
  5. 良いケース

<良いはんことは>

 「はんこ」の持つ最大の価値は唯一無二であることです。そして最低の価値も唯一無二であるということです。すなわち、同形印が出来てしまうような制作方法では「はんこ」の価値ゼロということになります。よって、心を込めて彫刻し、その人だけの世界に一つしかない「はんこ」が「良いはんこ」と考えられます。
  1. 「良い材料」とは、
     現在、耐久性、強度、鮮明な押印、手彫りの技術のだせる素材は象牙です。
     象牙は、輪切りにした時に中心に芯があります。(芯の部分はやわらかいのでつかえません) 芯に近いところから順に外に向かって、木の年輪が目の間隔が広くなっていくのと同じように象牙も目が粗くなっていきます。そのどの場所をとるかによってランクわけされていきます。また、牙一本一本の状態も違いますので多くのランクがあります。まさに天然素材ならではのことです。
     その中でも、目がつんでいて堅く油ののった象牙色(アイボリー)したものを最高級品と呼んでいます。
     「はんこ」は、紙の上に朱肉で押印し、紙に押された文字が効力を発揮するものなので、「彫刻技術を生かし思い通りの文字を彫刻でき、一生涯変わることのない押印ができる」ためには、「磨耗がほとんどない堅さ、衝撃に耐える強さ、さらに朱肉の印面へののりの良さなど」あらゆる面で現在手に入る印材の中で象牙が一番ということになります。
     当店では、この象牙の最高級品を用意しております。御来店頂ければ比較サンプルも有りますのでご確認いただければと思います。
  2. 「良い書体」とは、
     まずは誤字にならない正確なくずし方をする。楷書、行書などはどなたでも判読できるのでよいのですが、篆書体(てんしょたい)、草書体などは知識や経験がないと判読しづらい書体です。とくに篆書体では1本の線を上に曲げるのと、下に曲げるのとでは違う字になってしまうものもあるので、きちんとした知識が必要となってきます。そのくずし方のルールを守りながらそれぞれの書体の特徴を生かしながらはんこの文字としてカッコの良い、そして使う人の個性を表現した文字が書ければ「良い書体」となります。
  3. 「良い配字」とは、
     均斉のとれた良い文字を小さな印面の中に、ゆったりなるべく大きく見えるようにバランス良く配字することが印章彫刻士としての技術とセンスのみせどころです。「はんこ」の文字のよしあしは、1文字づつを見るのではなく、全体を見わたして全部の文字の雰囲気が揃っているか、一体感はあるか、空間が生かされているかなどの全体のバランスを見ることが大事であります。
     トップページの見本にある「平成 拓」のように苗字が2文字、名前が1文字の場合など寸法を測れば1文字の名前のほうが面積は大きいのですが、名前のほうだけ大きく見えないようにバランスをとって配字がされています。
     また、苗字が2文字で名前が2文字の4文字の場合でも、単に四等分して配置すればよいわけではありません。画数の多い文字と少ない文字、また「田」のように囲まれた文字と「土」などのように上や横に空間がつながるような文字とでは、同じ面積の四角の中にはめると、囲まれた字の方が大きく見えるものです。
     そういったことをふまえて前後に位置をゆずりあったりしてバランスをとると、全体を見た時に1文字だけ目立って見えるようなことのない、まとまりのある良い配字となります。
  4. 「良い彫刻技術」とは、
     使う人の顔になる「良い書体」、「良い配字」を実際に「はんこ」の小さな印面に表現でき、そしてその文字が紙の上に長い年月にわたって変わらず押印できるように彫刻することです。
     たとえば、細かいことですが、彫刻は底の部分と印面の文字とが垂直に同じ太さで彫刻したものと、斜めに底の部分のほうが太くなるように彫刻したものとでは強度が違ってきます。この部分を土手と呼びます。しかし、単に土手の角度をたくさんつければ強くなりますが、朱肉をつけた時に印面だけでなく土手の部分にも朱肉がついてしまい押印した時に文字が太ってしまうことがあります。よって、強度があり、すっきり押印できるように両方のバランスを考えて仕上げの彫刻作業を行います。
  5. 「良いケース」とは、
     中身の「はんこ」を守る役目(ちょっと落としたぐらいで開いてしまわないようなしっかりした金具)と中身の価値や、値打ちを引き立てるような素材(ワニ皮など)を使った物が良いケースと呼ばれています。当店では手作りの最高のケースを用意しております。

<最高のはんことは>

 当店の考える「最高のはんこ」とは、「良いはんこ」のところで述べたことをふまえた上で、それぞれの書体の正統なくずし方により、誤字がなく、そして使う人の顔になるような優雅さや、力強さ、やわらかさ、堅さなどいろいろな思いを表現した文字を、押印したときに紙の上にくるいなくうかび上がらせるように彫刻したもの。そして、その技術をいかんなく発揮できて一生付き合うことのできる耐久性などを持った最高の印材を使用して心を込めて彫刻したものが「最高のはんこ」いうことになります。


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